結膜母斑:410症例の臨床像と自然経過について
Arch Ophthalmol. 2004 Feb;122(2):167-75.
Conjunctival nevi: clinical features and natural course in 410 consecutive patients.
Shields CL, Fasiudden A, Mashayekhi A, Shields JA.
Ocular Oncology Service, Wills Eye Hospital, Thomas Jefferson University, Philadelphia, PA 19107, USA.
410症例(検査順に全症例を登録)の内訳:365症例(約89%)は白人であった。他に, アフリカ出身 23例(6%), アジア人 8例 (2%), インド人 8例 (2%), ヒスパニック 6例 (1%)であった。虹彩色は 茶色 55% (229/418), 青色 20% (85/418), 緑色 20% (83/418), 記載なし 5% (21/418)。
母斑の色: 茶色 65%, 黄褐色 19%, 完全な無色素 16% であった。
母斑の部位:眼球結膜 (302 眼 72%), 涙丘 (61 眼 15%), 半月ひだ (44 眼 11%), 円蓋部 (6 眼 1%), 眼瞼の瞼板部 (3 眼 1%), 角膜 (2 眼 1%未満)であった。
眼球結膜(注:眼球側の白目のこと)の病変は、そのほとんどが強角膜輪部(注:角膜の縁のこと)に接していました。4分割(上、下、鼻側、耳側)して表示すると、耳側 (190 眼 46%), 鼻側 (184 眼 44%), 上 (23 眼 6%), 下 (21 眼 5%)となります。
随伴所見として、病巣内嚢腫(65%), 栄養血管 (33%), 透見可能血管 (38%)がみられました。嚢腫は、病理検査にて複合母斑と診断された病変の70%で発見できました。他に、上皮下母斑 58%, 境界(ないし結合部)母斑 40%にみられ, 青色母斑では0%でした。
平均11年間に及ぶ診察が可能であった149症例では、次第に色がより黒くなった 5% (7 例), 色がより明るくなった 8% (12 例), 色調変化なし 87% (130 例) でした。病変のサイズは、大きくなった 7% (10 例), 外見上小さくなった 1% (1 例), サイズの変化なし 92% (137 例)でした。3症例については、平均7年後に悪性化しました。悪性化する前の病変は複合母斑(2症例)、青色母斑(1症例)でした。
結論:結膜母斑は良性腫瘍で、鼻側・耳側輪部に多くみられ、円蓋部, 眼瞼結膜, 角膜はまれです。経過とともに色調の変化 13% (20/149) サイズの変化 8% (12/149)がみられました。
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