高度近視 (ないし、強度近視)とは、近視度数 -6.00 D 以上と定義されています (単位はジオプトリ(D)、符号はマイナス(凹レンズ)です)。裸眼視力での目安として 0.04未満 程度とお考え下さい。注:下記2編の本邦論文では、タイトル中に high myopia (高度近視) が含まれていますが、対象眼は定義の度数とは異なります。
Retina. 1995;15(2):117-24.
A clinical study of the development of posterior vitreous detachment in high myopia.
Morita H, Funata M, Tokoro T.
Department of Ophthalmology, Tokyo Medical and Dental University School of Medicine, Japan.
【東京医科歯科大学】
(論文要約の一部を邦訳)
対象・方法:329眼 (近視度数 -8.25D 以上、かつ眼軸長 26.0mm 以上)。90D前置凸レンズおよびゴールドマン型三面鏡による生体観察法。
結果:20-29才では、後部硝子体剥離 (PVD) の頻度は 12.5% であった。年齢とともに増加した。眼軸長 30.0mm 以上の対象眼では、60.7%に観察され、29.9 mm以下に比べてPVDは有意に高頻度であった (P < 0.01)。
多重ロジスティック回帰分析では、年齢と眼軸長については、高度近視眼のPVD発生と硝子体ラクーナ形成に有意に関連する因子であったが(P < 0.01)、網脈絡膜萎縮との関連性はなかった。
結論:硝子体の液化変性は、高度近視眼では比較的若い年齢から始まり、加齢と眼軸長延長とともに進行するので、結果的にPVDは高頻度で発生する。
Ophthalmology. 1993 Sep;100(9):1384-8.
Prevalence of posterior vitreous detachment in high myopia.
Akiba J.
Department of Ophthalmology, Asahikawa Medical College, Japan.
【旭川医科大学】
(論文要約の一部を邦訳)
対象・方法:224眼 (近視度数 -6D 超)。90D前置凸レンズおよびゴールドマン型三面鏡による生体観察法。対照眼 220眼 (正視眼 -1Dから+1Dの範囲内)
結果:高度近視眼では、29才以下の年齢であれば後部硝子体剥離はみられなかった。その後、後部硝子体剥離の頻度は年齢とともに増加した。(23%, 29%, 44%, 72% それぞれ、40才代から70才代の頻度であり、70才以上では100%【注:原文どおりの邦訳】). さらに、近視度数が最強度ないし極度 (-10 D超)であれば、中等度(-6D超~-10Dまで)より早期に発症した。
正視眼では、39才以下の年齢であれば後部硝子体剥離はみられなかった。その後は年齢とともに増加した(8%, 23%, 44%, 74%, and 86% それぞれ、50才代から90才代の頻度)。
結論:高度近視眼では、後部硝子体剥離は年齢と近視度数とともにその頻度が増す。対象症例数(サンプル数)が少ないが、正視眼に比べて、ほぼ10才ほど早く発症する。
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