ツツジ科スノキ属 Vaccinium myrtillus (ビルベリー) の成分アンソシアノサイド anthocyanosides と夜間視力について--偽薬を対照とする比較臨床試験の体系的レビュー
Surv Ophthalmol. 2004 Jan-Feb;49(1):38-50.
Anthocyanosides of Vaccinium myrtillus (bilberry) for night vision--a systematic review of placebo-controlled trials.
Canter PH, Ernst E.
Complementary Medicine, Peninsula Medical School, Universities of Exeter & Plymouth, Exeter, UK.
著者らは、夜間視力に対する有効性のエビデンスのために、V. myrtillus (ツツジ科スノキ属 ビルベリー) の抽出液アンソシアノサイドについての比較臨床試験(偽薬を対照薬とするもの)を体系的にレビューした。
コンピュータ登録されたデータベースの検索と取得した論文内の引用文献から、照明強度が減弱したところでの視力に関連した臨床試験30件を確認した。この中で、12件が偽薬を対照薬とする比較臨床試験であった。最新の臨床試験4件は、すべてランダム化比較臨床試験 (randomized controlled trials RCTs) であり、その結果はネガティブだった。第5番目のランダム化比較臨床試験と7件の非ランダム化比較臨床試験は、夜間視力に関連した測定値にポジティブな効果があった。ネガティブな結果は、より厳正な方法論に関係したり、アンソシアノサイド成分が異質かもしれない地理的に異なる原料の抽出液と低投与量に関連していた。正常ないし平均を上回る視覚を有する健常者に対する検査は、12件の臨床試験中11件で行われていた。V. myrtillus (ツツジ科スノキ属 ビルベリー) の成分アンソシアノサイドは正常夜間視力を改善するとの仮説については、厳正な臨床研究ではエビデンスによる確証が得られなかった。 眼疾患(病的な目の状態)により夜間視力障害を呈する症例を対象とした本抽出液の効果に関する厳正な調査研究は全くない。
方法論的に(厳正さが)弱い臨床試験のエビデンス、動物実験による補助的なエビデンス、合成されたアンソシアノサイドによる臨床試験、ユキノシタ科黒房スグリ (Ribes nigrum) ブラックカーラントのアンソシアノサイドによる最新のランダム化比較臨床試験の成績から、夜間視力障害者に対するV. myrtillus 抽出アンソシアノサイドの追加臨床試験は認められるかもしれない。
訳者注:結果・効果について、「ポジティブ」=有効、「ネガティブ」=無効を意味する。
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