結膜結石:まぶたの裏側の結膜(眼瞼結膜)に生じる白色の小斑点。結膜面から突出すると、異物感を来たすことがあり、点眼麻酔下で摘出治療を行う。
結膜の表面には所々に結膜上皮で覆われたくぼみがある。この中で粘膜固有層に達する管状の浅い陥凹部はHenle腺とよばれる(真の分泌腺ではない)。これらの陥凹部に沈着したもの。
瞼板腺(マイボーム腺)梗塞:涙(油成分)の分泌腺である瞼板(マイボーム)腺の排出管に分泌物が蓄積し、半固形・固形状になると、まぶたの縁近くの裏側(眼瞼結膜)に黄白色斑として透見されるようになる。結膜上皮層を自然穿破し結膜面に突出すると、異物感や充血を伴うようになるので、点眼麻酔下で摘出治療を行う。
瞼板腺梗塞と結膜結石とは、肉眼ではどちらもまぶたの裏側(眼球側)の小白斑として観察され、同時に存在することもありますが、全く異なる病気です。
結膜結石の成因についいては、論文要約を引用します。
結膜結石. 偏光顕微鏡、病理組織学を利用した超微細構造の研究
Arch Ophthalmol. 1990 Mar;108(3):405-7.
Conjunctival concretions. Polarized microscopic, histopathologic, and ultrastructural studies.
Chang SW, Hou PK, Chen MS.
Department of Ophthalmology, National Taiwan University Hospital, Taipei.
(論文要約の邦訳)
結膜結石の病態生理学的所見を解明するため、慢性結膜炎5症例から得られた結石について偏光顕微鏡検査、免疫細胞化学的検査、組織化学染色法、電子顕微鏡検査を行った。直径0.2µから0.5µ、PAS染色およびムチカルミン染色陽性の電子密度の高い分泌顆粒が、結膜 Henle腺(真の分泌腺ではない)の表面を被っている上皮細胞内に認められた。変性上皮細胞や分泌顆粒を反映する顆粒状、膜状の組織像が結石内に見られることから、結石の構成成分のほとんどは【上皮細胞が変性したもの】が混在した【細胞形質の変化した結膜分泌腺から産生された粘液】である。
最近のコメント