テノン嚢下局所麻酔による半導体汎網膜光凝固術後に瞳孔散大と調節力喪失を来たした4症例
Eye. 2002 Sep;16(5):628-32.
Dilated pupils and loss of accommodation following diode panretinal photocoagulation with sub-tenon local anaesthetic in four cases.
Patel JI, Jenkins L, Benjamin L, Webber S.
Institute of Ophthalmology, London EC1V 9EL, UK.
目的: テノン嚢下局所麻酔による半導体レーザー網膜光凝固術に伴う瞳孔異常を報告する。
方法: テノン嚢下局所麻酔による糖尿病汎網膜光凝固術に続発した 瞳孔緊張症 "tonic pupils" の4症例 について記述する。
結果: テノン嚢下局所麻酔による汎網膜光凝固術を受けた 4症例 6眼の瞳孔は、0.1%ピロカルピン点眼に対する 除神経性過敏 (denervation hypersensitivity) を呈し散瞳が見られ、調節力喪失が持続した。光凝固数は過剰ではなく、一例では1200個だけのレーザ照射後に発症した。
結論: 半導体レーザーはアルゴンレーザーに比べて網膜のより深いところと脈絡膜に組織学的な変化を来たす。強い半導体レーザー照射は、脈絡膜を通過している 短毛様体神経 に障害を来たす可能性がある。麻酔していない状態であれば、この神経にレーザーが当たると患者は痛みを感じるので、神経に対する過剰な障害から目を保護することができる。テノン嚢下に麻酔を行ったため、レーザー治療施行者は照射が強すぎることに気づかず、脈絡膜神経に障害が発生した可能性がある。
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