"monofixation"を"単眼固視"と訳しましたが、詳細は、http://infohitomi.biz/archives/000017.htmlをご一読下さい。
立体視機能から見た間歇性外斜視の手術時期
間歇性外斜視および恒常性外斜視症例において、立体視機能の維持・回復のために最適な手術時期について、後ろ向き(Retrospective)調査研究が行われています。
【眼科論文】
Timely surgery in intermittent and constant exotropia for superior sensory outcome.
Abroms AD.他
Am J Ophthalmol 2001;131:111-116.
【論文要約】
著者は、斜視罹患年数⇒5年未満、手術年齢⇒7歳未満、眼位ずれ⇒間歇性 の時期に外斜視手術を推奨しています。
対象症例は間歇性外斜視 45症例(男14、女31)、恒常性外斜視 31症例(男9、女22)、合計76例である。
最終診察時に手術成功例であり、他の基準(省略)を満たした場合に対象とした。
眼位矯正の手術成功基準:0±8Δ(プリズム。遠方6m、近方33cmの視標ともに)
内訳:
手術時年齢 平均9.3歳(8ヶ月~71才)
手術回数 平均1.6回(1~7回)
術前斜視角(6m)平均12Δ(12~40Δ)
術後観察期間 平均5.9年(6ヶ月~26年)
初回手術術式:両眼外直筋後転術
(間歇性外斜視では、上斜筋手術は併用しない)術直後の眼位は過矯正状態となるように手術を行い、術後6ヶ月の時点で、6Δ以上の術後内斜視となっていれば、再手術を推奨する。
高次視機能(立体視)の判定基準:
"単眼固視"⇒ 立体視差60秒以上のみ認識
両眼固視⇒ 立体視差60秒未満の認識可能
検査法 Titmusステレオテストなど(参考資料【立体視差】)
結果:
1. 斜視の期間が5年未満であるか、手術年齢が7歳未満であれば、"単眼固視"の症例が有意に少ない。
2. 両眼固視できる症例は、斜視期間が有意に短い。
3. 間歇性外斜視の症例は、術後の"単眼固視"の頻度が有意に少ない。
4. 7歳未満で手術を行った症例では、恒常性の外斜視は有意に少ない。
など。
考案(一部):
術後3ヶ月以上、内斜状態となると、両眼固視機能が消失するとの報告がある。実際に、44例中2例(5%)は術後に両眼固視機能が消失するリスクがあった。両眼固視機能が失われる頻度は(他報告)⇒0%, 3.6%, 3.9%, 4.5%, 10%
注 間歇性外斜視の治療法とエビデンスに関するコクラン・レビュー もご覧下さい。
参考資料
【立体視差(視差)、立体視角】
参照:http://www.ntt.co.jp/news/news00/0005/000530_4.html
角度表示
1分=1/60度 1秒=1/60分=1/3600度
検査法 Titmusステレオフライテストは16インチ(40.64cm)前の視標による判定 (LangステレオテストⅡは参考までに記載)
立体視角(秒) 【視差 sec. of arc と同じ数値となる】
3552秒 ハエ羽根先端(約1度。Titmusステレオテスト)
3000秒 ハエ(Titmus)
800秒 サークル 1(Titmus)
600秒 象(LangステレオテストⅡ)
400秒 ネコ、サークル 2(Titmus)、車(LangⅡ)
200秒 うさぎ、サークル 3(Titmus)、星(LangⅡ)、月(LangⅡ)、
車と象との区別(LangⅡ)
140秒 サークル 4(Titmus)
100秒 サル、サークル 5(Titmus)
80秒 サークル 6(Titmus)
60秒 サークル 7(Titmus)
50秒 サークル 8(Titmus)
40秒 サークル 9(Titmus)
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