小林紹泉先生の論文(日本眼科学会雑誌 71(7):809-824.)の一部を引用いたします。
交通事故が大きな社会的問題となっていた昭和40年前後に京阪神地区でタクシー営業所を所有するS会社のプロのタクシードライバーを対象として、深視力(論文では「深径覚」と表現)に関するいろいろな臨床研究が行われています。
事故の多いドライバー群と過去2年以上無事故の群に対象を分け、比較検討が行われています。
深径覚障害者は、接触事故および静止物への接触もしくは衝突事故が主で、三叉路、四ツ辻、直進中での事故が多かった。事故対策として、
(1)プリズム眼鏡の使用
(2)眼鏡度数改善
(3)両 方
により深径覚障害者の65%の深径覚閾値を正常化ないし改善させることができた。弱視、眼疾患などがあった35%のドライバーは、閾値は改善しなかった。上記の矯正により、事故の発生率は明らかに減少した。なお、深径覚障害者の検査所見は、斜位程度の眼位異常で、両眼視機能検査では融像不全、融像偏位があり、しかも片眼が優位眼として働いているような場合があり、高度の立体視が障害されていることも多い。
【文 献】
小林紹泉: 職業運転手の深径覚と事故の関連性およびその対策. 日本眼科学会雑誌 71(7):809-824.
日本語で書かれた日本の主要な眼科雑誌であるので、論文内容の多くについて解説を省略いたします。ご興味のある方は、大学(医学部)図書館などで論文コピーを取得して、ご一読下さい
【参 考】
「自動車運転手の立体視機能の影響(予備的研究)」と題するドイツの論文要約も合わせてご一読下さい。
http://www.qqiac.com/archives/000140.html
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