外斜視に対する大量 (8 mm-9 mm) 両眼外直筋後転術の成績
Binocul Vis Strabismus Q. 1998 Summer-Winter;13(2 2nd Qtr):97-104.
Results of large (8-9 mm) bilateral lateral rectus muscle recessions for exotropia.
Berland JE, Wilson ME, Saunders RB.
Storm Eye Institute, Charleston, South Carolina, USA.
論文要約 (邦訳)
外斜視治療に際して、一般的に推奨されている外直筋の最大後転量は (最小) 7 mmから (最大) 11 mmの範囲です。8 mm以上の後転術に関する報告は少ない。多くの眼科手術医は、外転不全や術後過矯正を危惧し、7 mmを越える後転術を避けている。よって、8 mmから 9 mmの外直筋後転術を行った外斜視患者に発症する臨床的に明らかな外転不全の頻度と術後早期の過矯正との相関について調査した。
対象、方法:後向きチャートレビュー (過去の診療録・手術記録調査)を行ったところ、両眼の外直筋を 8 mmから 9 mm後転した症例は外斜視患者30名 (斜視角は35 Δから65 Δ) であった。斜筋の同時手術例も含まれていた。経過観察期間は平均15ヶ月 (3-30ヶ月)であった。
結果:24症例 (80%) は単回手術を行った。他の6症例 (20%) は追加手術を要した (4例が過矯正、2例が低矯正であったため)。
9症例 (30%) は術後に、軽度ではあったが持続性の外転不全を来たした。しかしながら、外転不全は手術効果不良を予期する因子ではなかった (P=0.959)。手術効果に有意に関係しなかった他の因子は、年齢 (p=0.894)、全身の奇形 (p=0.127)、術前の斜視角の大きさ (p=0.987)、外直筋後転量 (p=0.480) であった。一方、同時斜筋手術は、手術効果不良となるハイリスク因子であった。
結論:外直筋を 8-9 mm後転しても、手術効果不良とはならないが、斜筋手術を同時に行うと手術効果は不良である。
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