細菌性角膜炎から分離された菌株を使用し、第4世代フルオロキノロン系抗菌薬 ガチフロキサシンおよびモキシフロキサシンの薬剤感受性を レボフロキサシン, シプロフロキサシン, オフロキサシンと比較した細菌学的な研究報告です。
注:文献要約の一部を邦訳し、薬剤には国内で販売されている商品名を付記しました。
Am J Ophthalmol. 2003 Sep;136(3):500-5.
Gatifloxacin and moxifloxacin: an in vitro susceptibility comparison to levofloxacin, ciprofloxacin, and ofloxacin using bacterial keratitis isolates.
Kowalski RP, Dhaliwal DK, Karenchak LM, Romanowski EG, Mah FS, Ritterband DC, Gordon YJ.
Charles T. Campbell Ophthalmic Microbiology Laboratory, University of Pittsburgh, Pittsburgh, Pennsylvania 15213, USA.
細菌性角膜炎検出菌177株について細菌学的検査を実施した。フルオロキノロン系の薬剤に対する感受性については、第2世代に薬剤耐性を示した菌株を使用し、NCCLS(National Committee for Clinical Laboratory Standards)法、MIC法(最小発育阻止濃度)にて比較検査を行った。
「MICが低い」とは、薬剤の抗菌活性が強いということである。
フルオロキノロン系
【第4世代】
モキシフロキサシン/moxifloxacin(MOX)
ガチフロキサシン/gatifloxacin(GAT) 商品名 ガチフロ点眼液
【第3世代】
レボフロキサシン/levofloxacin (LEV) 商品名 クラビット点眼液
【第2世代】
シプロフロキサシン/ciprofloxacin (CIP) 商品名 シプロキシン錠など
オフロキサシン/ofloxacin (OFX) 商品名 タリビッド点眼液など
大部分の検出菌において、5剤間で明らかな差はなかった。
第4世代の薬剤は CIP, LEV, OFXに耐性を示す黄色ぶどう球菌( Staphylococcus aureus ) に対して、より強い薬剤感受性を呈した。
一般的に、CIP はグラム陰性菌に対するMICが最も低かった(抗菌活性が強い)。グラム陽性菌の全検出株について、統計的に第4世代のMICは第2世代のものより低かった。
第4世代の2剤の比較では、ほとんどのグラム陽性菌において、MOXの方がMICは低く、一方、ほとんどのグラム陰性菌ではGATの方がMICは低かった。結論:細菌学的検査では、従来のフルオロキノロン系薬剤に比べて第4世代の2剤にはいつくかの有益な点があるようであるが、実際臨床での確認が必要である。
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