■ 強膜露出法(マイトマイシン C使用または未使用)および自家結膜移植法による翼状片手術後再発率のメタ分析
Br J Ophthalmol. 1998 Jun;82(6):661-5.
Meta-analysis on the recurrence rates after bare sclera resection with and without mitomycin C use and conjunctival autograft placement in surgery for primary pterygium.
Sanchez-Thorin JC, Rocha G, Yelin JB.
Fundacion Santa Fe de Bogota, Colombia.
強膜露出法(マイトマイシン C使用または未使用)および自家結膜移植法は今日主流の翼状片手術法である。3手術法の術後再発率についてメタ分析を行った。Medlineにて取得したランダム化比較臨床試験の中で2手術の比較が行われているもの、および引用文献を調査し、この中でDetskyスコア(論文・文献の質)0.5以上の論文を採用した。再発率については、合併(pooled)オッズ比、95%信頼区間で表示した(計算法はMantel-Haenszel検定を使用)。3文献:マイトマイシン C使用の有無による強膜露出法の検討、1文献:マイトマイシン C未使用の強膜露出法と自家結膜移植法、1文献:双方の比較
結膜移植法に対するマイトマイシン C未使用の強膜露出法のオッズ比【6.1】(95%信頼区間 1.8-18.8)、マイトマイシン C使用強膜露出法に対する未使用強膜露出法のオッズ比【25.4】(95%信頼区間 9.0-66.7)。
結膜移植法ないしマイトマイシン C(術後・術中)使用強膜露出法が行われなければ、再発率(オッズ比)は6倍から25倍高くなる。術者や治験担当医は強膜露出法(マイトマイシン C未使用)を推奨すべきではない。
注:
マイトマイシン C (mitomycin C) :化学療法薬。マイトマイシン Cは細胞内のDNA生成を阻害する抗菌薬であるため、胃癌,肝癌,結腸・直腸癌,肺癌などの悪性腫瘍治療に使用する。
自家結膜移植法 (conjunctival autograft):自家結膜とは、患者自身の結膜のことである。翼状片切除部に自家結膜を移動、縫合する。
■ 翼状片手術時の補助治療(マイトマイシン C 0.02%液、輪部自家結膜移植法)に関するランダム化比較臨床試験
Br J Ophthalmol. 2004 Aug;88(8):995-7.
A randomised trial comparing 0.02% mitomycin C and limbal conjunctival autograft after excision of primary pterygium.
Young AL, Leung GY, Wong AK, Cheng LL, Lam DS.
Department of Ophthalmology & Visual Sciences, The Chinese University of Hong Kong, Prince of Wales Hospital, Shatin, NT, Hong Kong.
翼状片手術時の補助治療は、(1) 術中マイトマイシン C(MMC)使用 0.02%液、5分間接触。(2) 輪部自家結膜移植法(LCAU) である。手術1年後の再発と合併症を調査した。再発の定義:線維性血管膜が再増殖し、角膜組織内に侵入し、1.5mmを越える。
114症例115眼について、2つの治療法をランダム化割付した(MMC群 63眼 LCAU群 52眼)。再発率は MMC群 15.9%(10/63眼)、 LCAU群 1.9%(1/52眼) で有意差あり(P=0.04)。術後合併症は結膜嚢腫(3眼)、瞼球癒着(3眼)、肉芽腫(1眼)、陥凹(デーレン,1眼)であったが、視覚的に重要な合併症は両群にはみられなかった。結論:輪部自家結膜移植法(LCAU)は1年後の再発率において優れた成績であったが、本手術は技術的により難しく、角膜輪部の障害(既往)がある症例では行えない。翼状片手術の際のこれら補助治療は、術後再発率、専門的な意見などの評価に基づいて慎重に選択すべきである。
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