涙液 (減少) 欠乏型ドライアイを伴った糸状角膜炎の治療
Optom Vis Sci. 2003 Jun;80(6):420-30.
Management of filamentary keratitis associated with aqueous-deficient dry eye.
Albietz J, Sanfilippo P, Troutbeck R, Lenton LM.
Centre for Eye Research, Queensland University of Technology, O Blocj, QUT Kelvin Grove, Victoria Park Road, Kelvin Grove 4059, Australia.
目的: 糸状角膜炎の発症頻度、病態生理、臨床像をレビューするとともに、本疾患管理に際してのエビデンスに基づく最善の治療戦略を明確にすること
方法: 刊行された論文を包括的にレビューした。エビデンスに基づいて最善の臨床治療・管理戦略を推奨した。慢性糸状角膜炎3症例について症例提示した。
結果: 充分にデザインされた研究がないためエビデンスは限られているが、最新のエビデンスから、
(1) 涙液欠乏型のドライアイ (乾性角結膜炎) が糸状角膜炎を伴う最も一般的な基礎疾患である。
(2) 糸状角膜炎に対する最新の最善な治療法は、基礎疾患であるドライアイ治療と糸状角膜炎の特異的治療の2つである。提唱されているものは、防腐剤無添加で潤滑作用を有する点眼液、ステロイド点眼液、非ステロイド性消炎点眼液、涙点プラグによる涙液欠乏型ドライアイ治療と、糸状物の機械的除去、高浸透圧食塩水、粘液溶解剤、保護用コンタクトレンズによる糸状物治療である。
(3) 糸状角膜炎はコンタクトレンズ装用、白内障手術や角膜移植術などの眼手術により誘発されたり、悪化する。
糸状角膜炎を合併している、または併発しやすい患者に対して眼手術の予定があれば、術前・術後に眼表面の治療も計画すべきである。
糸状角膜炎は、長期の眼局所ないし全身薬物治療によっても誘発されたり、悪化する。これらの症例に対して、涙液層 (フィルム) や眼表面を治療管理するために、代替治療や追加検査が必要となるかもしれない。
結論: 糸状角膜炎は慢性、再発性、消耗性の疾患である。診断および治療に際して全身的にアプローチすると、糸状角膜炎を効果的にコントロールでき、再発の頻度と重症度を最小限にとどめることができる。
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