[文献1]
視神経の先天的疾患: 陥凹と低形成
Eye. 2004 Nov;18(11):1038-48.
Congenital disorders of the optic nerve: excavations and hypoplasia.
Dutton GN.
Tennent Institute of Ophthalmology, Gartnavel, General Hospital, Glasgow, UK.
明らかな視力障害を来たす主な視神経乳頭の先天異常は、視神経陥凹と視神経低形成です。陥凹を伴う視神経乳頭異常は、視神経乳頭コロボーマ、morning glory syndrome [朝顔症候群] , 乳頭周囲ぶどう腫 です。
視神経低形成 は視神経が小さく見える所見があり、乳頭周囲輪 ( double ring sign )を伴うことも伴わないこともあります。さらに、periventricular leucomalacia [脳室周囲性白質軟化] とよばれる症例にみられる 視神経陥凹 は、視神経低形成の一型として分類可能です。
発症は片側ないし両側で、視機能障害は軽度から高度です。これらの病気により視力不良となった小児例に対しては、屈折矯正を行ったり、一部のケースでは [弱視に対する] 遮蔽治療を行ったり、視力障害が発育や教育の妨げにならないように自宅や学校で病気・状態が最適化となるように治療管理します。
訳者注: [ ] 内の日本語は、
http://www.bunkodo.co.jp/books/shishinkeinyutoatras.html
などを参照し、利用者が理解しやすいように訳者が付記したものです。
[文献2]
先天性視神経低形成の臨床像: 51症例のレビュー
Dev Med Child Neurol. 1984 Jun;26(3):311-22.
Clinical spectrum of congenital optic nerve hypoplasia: review of 51 patients.
Margalith D, Jan JE, McCormick AQ, Tze WJ, Lapointe J.
先天性視神経低形成 (CONH) を呈する 51症例をレビューした。母親が未成年であると本疾患のリスクが高くなること、母親のアルコール依存や薬物乱用は重要なリスク因子の可能性があることがわかりました。本疾患では、他の神経精神学的なハンディキャップや神経内分泌学的異常をしばしば合併します。CONH の原因として、網膜神経節細胞の分化過程の障害であったり、視神経線維の経シナプス的な変性であったり、1つの疾患グループではないことが考えられます。
[文献3]
視神経低形成: リスク因子と疫学
Acta Ophthalmol Scand. 2002 Jun;80(3):300-4.
Optic nerve hypoplasia: Risk factors and epidemiology.
Tornqvist K, Ericsson A, Kallen B.
Department of Ophthalmology, University Hospital of Lund, Lund, Sweden.
目的: 視神経低形成の疫学的調査
研究デザイン・方法: Swedish Register of Visually Impaired Children (スウェーデン視覚障害児登録) を利用して、視神経低形成と視力低下を有する小児の調査を行った、出生前、周産期の状態は、Medical Birth Registry の登録データから情報を入手し、出産・分娩記録を詳しく調べた。視神経低形成を有する患児の臨床像を記述した。以下のリスク因子について検討した: 母親の年齢、出産歴、母親の喫煙歴、在胎週数、出生時体重、分娩法、Apgar スコア、妊娠中の母親の疾患、妊娠早期の服薬状況。
結果: 母親の年齢が若いこと、初産、母親の喫煙、満期前の出産、満期前出産に関連する因子が視神経低形成のリスク因子であった。排卵誘発剤や向精神薬の使用も関連があった。
結論: 視神経低形成は、他の奇形 (特に、中枢神経系) だけでなく、胎児の発育における全身的な障害を伴うことが明らかです。
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