急性後天性共同性内斜視: 前向き調査
Eye. 1999 Oct;13 ( Pt 5):617-20.
Acute acquired comitant esotropia: a prospective study.
Lyons CJ, Tiffin PA, Oystreck D.
Department of Ophthalmology, British Columbia's Children's Hospital, Vancouver, Canada.
目的: 急性発症の内斜視を呈した症例の臨床的特徴と中枢神経系の病理像を解明する。両眼視機能の予後を評価し、最適な治療法について考案する。
方法: 1994年1月から1997年4月にかけて、大学教育病院の小児眼科にて受診した本疾患の全患者について前向き臨床調査を行った。すべての眼科検査を行い、CT ないし MRI のために小児神経科医に紹介した。
結果: 調査期間中に10症例が受診した。レンズ矯正していなかった遠視 と monofixation 症候群 で代償不全となった ケースが原因として最も多かった。小脳腫瘍 1症例がみられた。遠視の完全矯正だけで 5症例は、両眼視機能が完全回復した。5症例では、両眼の内直筋後転術を行った。両眼視機能は中心窩固視の 5症例全例で回復した。
結論: 斜位 ないし monofixation syndrome の代償不全が最も多い原因であった。毛様体筋の麻痺点眼薬を使用した完全遠視矯正レンズの処方が初期治療で本質的なものである。腫瘍が原因であった症例では、決め手となる単一臨床所見はない。遠視がない、融像能力に問題がない、非典型像がある、神経学的所見があるケースでは、常に脳疾患の疑いを持ち、脳の画像診断検査を考慮すべきである。
訳者注: monofixation 症候群 については、
解説ページ「先天性内斜視、EBM、monofixation症候群」
http://infohitomi.biz/archives/000017.html
をご覧下さい。
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