脳障害後にみられる斜視、複視
J Neurol. 1996 Jan;243(1):86-90.
Squints and diplopia seen after brain damage.
Fowler MS, Wade DT, Richardson AJ, Stein JF.
Department of Physiology, Oxford University, UK.
脳障害後の斜視の頻度を調査しました。専門医による神経リハビリテーション・ユニットに入院した 239症例 (症例を抽出するのではなく、続いて入院した全症例)を対象としました。脳血管障害 129例、頭部外傷 84例、他疾患 26例でした。視力検査、カバーテスト、眼球運動の記録、両眼視機能検査などを含む通常の斜視関連検査を行いました。
全症例中、89例 (37%) に斜視がみられましたが、斜視を呈した患者の 36% (32症例)のみが複視を自覚しました。末梢性眼球運動障害の原因となる脳幹部病変は頭部外傷患者では高頻度 (56%) に発見されました。大脳皮質の脳血管障害者 95例中 27症例 (28%) に斜視がみられましたが、脳幹部障害による他の所見を伴わないことが多かった。左右大脳半球障害における斜視の頻度は同程度でしたが、右大脳半球障害では複視の発生が抑制されているようでした。
結論として、脳幹部に明らかな異常がなくても、斜視は脳障害後によくみられます。しかし、斜視を呈していても、複視を自覚する症例は少ないと言えます。
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