霰粒腫 (さんりゅうしゅ)手術時の疼痛は、注射痛のほか、手術操作、手術器具の装着などにより発生します。また、主観的には「手術の恐怖感」といったものも加わります。下記の論文(要旨のみ)は注射痛軽減法の1つとお考え下さい。
加温リグノカインは局所麻酔下眼瞼手術時の注射痛を軽減する
Eye. 1996;10 ( Pt 5):558-60.
Warming lignocaine reduces the pain of injection during local anaesthetic eyelid surgery.
Bell RW, Butt ZA, Gardner RF.
Princess Alexandra Eye Pavilion, Royal Infirmary of Edinburgh, UK.
患者は局所麻酔液の注射により、しばしば疼痛と不快感を経験する。無作為対照化試験 (二重盲検法) により、まぶたの小手術の局所麻酔時に 加温した リグノカイン lignocaine (注1) を使用したときの利点について研究した。薬液温度が室温 (cold)と 体温 (warm) となっている 2% リグノカイン注射液 1.5 mlの皮下注射時の疼痛について、1つの眼瞼の孤立性瞼板腺嚢腫切開術 (注2) 60症例を対象として比較した。注射液として cold 液を使用するか、warm 液であるかはランダムに症例を割り当てた。疼痛は、0から100までの段階の疼痛スケール linear analogue pain scale を使用し、主観的に評価した。cold 麻酔液群の疼痛スケール中央値 (19.5) は、warm 群 (10.0; p = 0.02) より高かった。
結論として、37 ℃に加温した麻酔薬を使う簡単な方法で注射に伴う疼痛を有意に減少させた。この手技は患者の不快感を軽減させるためにより広く採用されることを推奨する。
[訳者注]
注 1: 一般名 リドカイン (商品名 キシロカイン、リグノカインなど)
注 2: 主に、霰粒腫(さんりゅうしゅ)のことでしょう。
「マイボーム腺 (瞼板腺) の温湿布マッサージ法」
http://infohitomi.biz/archives/000020.html
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