網膜静脈閉塞症に対する外科的アプローチ
Klin Monatsbl Augenheilkd. 2005 Apr;222(4):299-308.
Surgical approach to retinal vein occlusion
Mester U.
Augenklinik der Bundesknappschaft, Sulzbach/Saar.
「要約の抄訳]
網膜静脈閉塞症は、視力にかかわる網膜血管系疾患として2番目に多いものです。過去には網膜静脈閉塞症のすべてのタイプ (分枝 branch, 中心 central 半中心 hemi-central)において、機能改善のための治療器具は非常に限られていました。また、病理学的機序やリスク因子も未だ完全に理解されていません。
アルゴンレーザー網膜光凝固術 argon-laser-photocoagulation: 進行予防と新生血管治療としては成功しますが、ほとんどの症例で視機能は改善不能です。
血栓溶解療法 thrombolytic therapy: 薬剤全身投与は重篤な副作用のため適応が限られていますが、眼内に注射する方法は有用なことがあります。
血液希釈療法 isovolemic hemodilution: 網膜中心静脈閉塞症 (CRVO)に有効のことがあります。
レーザー治療により誘発された脈絡膜網膜静脈吻合形成は重篤な合併症です。1999年以降、多数の手術法が報告されています。
血管外膜鞘切開術 交叉部血管外膜切開術 sheathotomy: 網膜中心静脈分枝閉塞症 (BRVO) が起こっている動静脈交叉部の静脈から動脈を分離する手術は、網膜血流を再開させ、黄斑浮腫を減少させることができます。しかし、手術時のいずれのステップ (硝子体手術 vitrectomy, 内境界膜剥離 ILM-peeling, 血管外膜切開術 sheathotomy) が手術効果の原因となっているか依然として不明です。
放射状視神経切開術 放射状視神経乳頭切開術 radial optic neurotomy (RON): [訳者注 硝子体手術時、視神経乳頭鼻側縁を硝子体網膜剪刀にて径方向に1,2 本切開します] 網膜中心静脈閉塞症 (CRVO)の新しい手術法です。強膜輪 scleral ring を切開すると中心静脈は減圧するとの仮説に基づいて、最初に施行されました。一方、RON 成功例では術後の脈絡膜網膜シャント形成が決定因子になるとの根拠がいくつかあります。データが不一致であったり、少ないので、本手技についてさらに評価が必要です。
挿管術 cannulation: 閉塞静脈内に挿管する方法は実用性が高いようですが、臨床的な成果が証明されなければなりません。
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