ヒステリア hysteria という心因性疾患の症状の1つ「低視力状態」のことです。他に、眼瞼けいれん blepharospasm もヒステリアの症状としてみられることがあります。
ただし、詐病 (さびょう, 仮病 malingering)は、ヒステリアとは異なります。機能障害を意識的に作ったり (陽性詐病 positive malingering)、真の病気を意識的に否定する (陰性詐病 negative malingering) ことが詐病です。ヒステリアは詐病に似ていますが、患者本人が意識して行っているのではありません。
心因性眼瞼けいれん: エントリー「瞬目過多 (まばたきが多い)」
http://www.qqiac.com/archives/000066.html
をご覧下さい。
子どもの心因性弱視
J Pediatr Ophthalmol Strabismus. 1978 May-Jun;15(3):164-7.
Psychogenic amblyopia in children.
van Balen AT, Slijper FE.
[要約の邦訳]
説明のつかない低視力を呈した 43人の子どもは、心因性弱視と診断された。28人は平均 20ヶ月後に回復した。16人は正常視力となったが、12人は再び低視力を来たし、初回検査のときと同じ説得手段 persuasion の影響で視力は急速に正常化した。
心理学的テストはヒステリア hysteria の仮説を確認できなかったが、神経身体スコア neurosomatic score は有意に高かった。心理学的テストと両親に対する面接の結果、エディプスコンプレックス oedipal conflict に基づく神経症的葛藤ではなく、反抗心 hostilityを表現したい願望と親の愛情を失いたくない願望との間の葛藤に基づく神経症的反応が示唆された。
弱視-女子生徒症候群
J Pediatr Ophthalmol Strabismus. 1981 Nov-Dec;18(6):30-3.
The amblyopic schoolgirl syndrome.
Mantyjarvi MI.
[要約の邦訳]
生徒にみられる心因性弱視 psychogenic amblyopia の発生率について研究した。教護教諭 school nurse と校医による調査が行われた 14,000人の生徒のうち、2280名が2年間の眼科検査のために著者に紹介された。40名 (1.75%) は心因性弱視と診断され、発症率は 1.4/1000/年であった。心因性弱視は、女生徒に高率 (48/52)で, 9才から11才までの年齢が多いという特徴があった。この状態が続く期間は幅広く分布していたが、37% は 1年以内に回復した。弱視の心理学的原因が解明できたのは、わずかなケースのみであった。本研究により、心因性弱視が比較的高率に発症することがわかる。この状態を知れば、精神的に緊張を強いる、しかも高価な検査を行わないで済ますことができる。
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