網膜色素変性症における視力と中心網膜厚との関連性
» http://www.iovs.org/cgi/content/abstract/46/9/3349
Invest Ophthalmol Vis Sci. 2005 Sep;46(9):3349-54.
The Association between Visual Acuity and Central Retinal Thickness in Retinitis Pigmentosa.
Sandberg MA, Brockhurst RJ, Gaudio AR, Berson EL.
Berman-Gund Laboratory for the Study of Retinal Degenerations, Harvard Medical School, Massachusetts Eye and Ear Infirmary, Boston, Massachusetts.
[要約の邦訳]
目的: 網膜色素変性症患者の視力が中心網膜厚に関連するかどうか確定する。
方法: スネーレン Snellen視力は 20/20から20/200 (訳者注: 国内では 1.0から 0.1の視力に相当する)の範囲内で、白内障は認めないか・ほんのわずか、黄斑のう胞は見られない、典型的な網膜色素変性症を呈する 162症例に対して、視力を Early Treatment Diabetic Retinopathy Study (ETDRS) チャートにて測定し、網膜厚と grade third high-reflectance bands を optical coherence tomography (OCT3)にて測定した。65症例は網膜厚測定の変動 intervisit variability を推定するために 2ヶ月以内に再検査を行った。
結果: ETDRS 視力は 固視点での網膜厚と中心部 1mm上の平均網膜厚に最もよく相関した (2次多項式 r(2) = 0.38 & P < 0.001 両症例群ともに)。視力は網膜厚が中間値のとき最大で、薄くても厚くても視力が低下するようであった。直線回帰法にて、grade third high-reflectance band 所見のみられない患眼では、部分的で明瞭な bandを呈した患眼に比べて、網膜厚の減少に対して視力低下は、より急峻であった。正常な bandを有する患眼では、視力低下は無かった。網膜厚測定の変動 intervisit variability をみるための再検では、98%信頼限界は固視点 ±17 µm, 中心部 1mmで ±11 µm であった。
結論: 網膜菲薄化 (細胞消失による)と網膜肥厚 (推定浮腫による)は、典型的な網膜色素変性症患者の視力低下に関連するようである。OCT third high-reflectance band の鮮明度は、網膜厚が減少するにつれて患者の視力が低下する傾向が強いかどうか、予測に役立つ可能性がある。経過観察中、固視点で ±17 µm, 中心部 1mmで ±11 µm 以上の網膜厚の増減は、本疾患患者では有意な変化 (P < 0.01)とみなすことができる。
訳者注:
(1) OCT (Optical Coherence Tomography) は国内では 光干渉断層計, 光干渉網膜厚測定装置などと呼ばれています。
実際の所見(参照ページ): » http://www.sugita.or.jp/info/oct.html
(2) OCT grade third high-reflectance band: 本疾患患者のOCT検査でみられる重要な所見とされ、仮に訳すると、"第3度高反射帯域"となります。医学雑誌ないし文献コピーを取得し、論文本文を通読していないため、今回は原文のまま引用いたします。
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