母体の血液内凝固因子に先天的な異常、いわゆる遺伝性血栓性素因 (遺伝性血栓形成亢進状態 inherited thrombophilia)があると、「不育症」 「血栓症」などの原因となります。
日本産科婦人科学会ホームページ内 PDFファイル 47KB
「4.不育症の病態解明と治療の展望 2)凝固線溶系の視点から」
http://www.jsog.or.jp/PDF/55/5509-244.pdf
また、リン脂質に対する抗体「抗リン脂質抗体(APL)」が体内に産生される「抗リン脂質抗体症候群」においても、「不育症」 「妊娠中毒症」 「血栓症」 「脳梗塞」 「肺梗塞」 「静脈血栓症」などが起こりやすくなります。この自己抗体は、抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラントといわれています。
難病情報センター http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/038.htm
若年成人発症の網膜中心静脈閉塞症と活性型プロテインC 抵抗性および抗凝固タンパク
Acta Ophthalmol Scand. 1999 Dec;77(6):634-7.
Activated protein C resistance and anticoagulant proteins in young adults with central retinal vein occlusion.
Larsson J, Hillarp A, Olafsdottir E, Bauer B.
Department of Ophthalmology, Lund University Hospital, Sweden.
[要約の邦訳]
背景: 網膜中心静脈閉塞症は高齢者によく見られる病気で、しばしば粥状動脈硬化症、高血圧、糖尿病、緑内障と関連性があります。若年者において、はっきり解明されたわけではないので、網膜中心静脈閉塞症の若年発症群を対象として最もよく見られる抗凝固タンパク異常の有病率について研究します。
方法: 50才未満で網膜中心静脈閉塞症の病歴を有する連続 37症例を対象として、凝固抑制因子( プロテイン C, プロテイン S, アンチトロンビン III)欠乏症, プラスミノーゲン, 活性型プロテインC 抵抗性, 抗カルジオリピン抗体(または、ループス性抗凝固因子) の解析を行った。
deficiencies of natural inhibitors of coagulation (protein C, S, and antithrombin III), plasminogen, resistance to activated protein C, and the presence of anticardiolipin or lupus anticoagulants
結果: 抗凝固タンパク欠乏症 4症例 (11%)、活性型プロテインC 抵抗性 7症例 (19%) が発見された。抗カルジオリピン抗体(または、ループス性抗凝固因子) が検出された症例はなかった。
結論: 活性型プロテインC 抵抗性 activated protein C resistance および 抗凝固タンパク欠乏症は若年の網膜中心静脈閉塞症の発症原因として重要な因子と考えられる。
56才未満の網膜中心静脈閉塞症患者における凝固能亢進状態の臨床検査による評価
Ophthalmology. 2002 Jan;109(1):126-31.
Laboratory evaluation of hypercoagulable states in patients with central retinal vein occlusion who are less than 56 years of age.
Lahey JM, Tunc M, Kearney J, Modlinski B, Koo H, Johnson RN, Tanaka S.
Retina Unit, Department of Ophthalmology, Kaiser Permanente Medical Center, 27400 Hesperian Boulevard, Hayward, CA 94545-4299, USA.
[要約の抄訳]
網膜中心静脈閉塞症患者55症例中 15例 (27%)に凝固能亢進状態を示唆する1つの陽性検査所見みられた。検査パラメーター(下記 7項目)の中で、年齢適合対照群にくらべて、高ホモシステイン血症 hyperhomocysteinemiaと循環抗リン脂質抗体 circulating antiphospholipid antibodies が有意に多かった(P < 0.05) 。
homocysteine, activated protein C resistance, protein C activity, protein S activity, antithrombin III activity, antiphospholipid antibodies, and anticardiolipin antibodies
(訳者注: 目的、結論等の邦訳は省略します。)
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