通常の眼底検査では病変がわかりにくい網膜・網膜色素上皮の病気がいくつか知られています。
1993年, Gass JD が初めて報告した Acute zonal occult outer retinopathy も早期診断に際して電気生理学的検査(網膜電図)が極めて有力です。
エントリー「AZOOR (Acute zonal occult outer retinopathy)」
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正常眼底と異常網膜電図: 鑑別診断
Klin Monatsbl Augenheilkd. 2002 Apr;219(4):259-63.
Normal fundus and abnormal electroretinogram: differential diagnosis
Niemeyer G, Schaefer A.
Elektroretinographie Labor, Universitats-Augenklinik,, Zurich, Switzerland.
[要約の邦訳]
目的: 検眼鏡による眼底検査で正常像を呈しているときの網膜機能異常を判定する.
方法: 桿体システムと錐体システムの全体野網膜電図 Ganzfeld electroretinography ERG が先天性または後天性網膜機能異常を検出するために使用された。5才未満の幼児に対して、吸入麻酔下に ERG検査を実施した。さらに、多局所網膜電図 multifocal electroretinography の方法は散在性の局所的網膜機能異常の検出する。ERG結果は規準データ、検眼鏡所見、視野検査結果と比較し評価する。典型的な ERG変化とそれに対応する鑑別診断を明確に示すために患者データを選択した。
結果: ERGでは異常結果であり検眼鏡的には正常眼底像を呈する 8つの典型例を示す。これらは以下の状態で観察された: (1) 停止性先天性機能異常, (2) 早期の遺伝性色素上皮網膜変性 hereditary tapetoretinal degeneration, (3) 中毒性網膜症または 癌関連網膜症 cancer-associated retinopathy (訳者注 別称: 腫瘍随伴症候群, 傍腫瘍性症候群 paraneoplastic syndrome)。これらの疾患では、ERG検査は桿体システムと錐体システムの機能異常を分離・検出することにより視野検査を補完した。
結論: 最も重要な診断決定過程において、ERGは眼底検査と網膜機能の心理物理学的検査を補完する。本診断検査により鑑別診断が容易となり、予後をはっきりさせることを補助し、遺伝カウンセリングの根拠を提供する。
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