日本では、医療機関にて下記のハンフリー自動視野計などによる静的量的視野検査をお受けになると、検査代として両眼 6,000円 (×健康保険の自己負担率)の医療費がかかります。国内では、新聞、マスコミ、公共機関、医師会、専門学会などは緑内障をテーマとして取り上げると、第一に「医療機関による視野検査」を推奨しますが、海外では、専門家によるサポートと学術論文があり費用効果的なスクリーニングを行うサイトも登場しています。新しい技術やシステム開発の背景には、米国では医療費が高い、インターネット普及・利用率が高い、国土が広大であるという地理的理由などが関係するのかもしれませんが、日本でも今後、視野検査の費用効果的分析 cost-effective analysis はますます重要になると考えます。
因みに、「cost effective (費用対効果) visual field (視野) glaucoma (緑内障)」をキーワードとして、PubMedによる医学論文検索(過去40年余り)を行っても、日本人の緑内障患者を対象とした研究論文はヒットしません ("cost benefit 費用便益" , "cost-effectiveness" も検索済)。
オンライン視野検査 「Peristat」
» http://www.keepyoursight.com/
提供元: 米国ロサンゼルス Peristat Group LLC
「ペリスタット」の無料デモ・サイトがあります (すべて英語です)。
» http://www.keepyoursight.com/manual_demo.php
パソコンに「Macromedia Flash Player 7.0」ダウンロード・インストール後、実行できます。
ホームページ内の解説文の一部を抄訳します。
検査時間はわずか5分で、利用者の許可があれば、
(1) かかりつけのアイ・ドクター(眼科医)がいないとき、「Peristat」提供側の専門家が独自に検査結果を評価し、セキュアーなページに表示します。
(2) かかりつけの眼科医やオプトメトリストに結果を発送します。
眼科の診療室での従来の検査は $150以上かかりますが、本検査は両眼 $29.95 です(参加パートナーからの紹介があればロープライスとなる可能性があります) 。
関連論文:
Peristat: 緑内障の費用効果的な集団検診のためのコンピュータベース視野自己診断検査
Curr Eye Res. 2005 Jan;30(1):1-6.
Peristat: a computer-based perimetry self-test for cost-effective population screening of glaucoma.
Ianchulev T, Pham P, Makarov V, Francis B, Minckler D.
Doheny Eye Institute, University of Southern California, Los Angeles, California 90027, USA.
[要約の一部のみ抄訳]
対象・方法: ハンフリー自動視野計 Humphrey Field Analyzer を含む検査で緑内障または緑内障疑いと診断され、最高矯正視力 0.1以上などの他 3条件を満たした 33症例 58眼を対象として、前向き、比較観察試験を実施した。Peristatとハンフリー視野 Humphrey Visual-Fieldのスコアーを比較した。
結果: 検査時間は 2分から 5分であり、より高度の視野欠損を有する症例は検査時間が長くなった。3名のレビュアー (2名の緑内障専門医と1名の一般眼科医)による評価にて、Peristatの検査感度は 80%から 83%であった。軽度の視野欠損を呈する症例を除外すると、特異度 (特異性)は 94% から 97% 間のままで、検査感度は 84%-86%に上昇した。
結論: Peristatは、緑内障スクリーニングとして費用効率が高い cost-effective、有益な公衆衛生ツールとなり得る。
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