妊娠初期に、トキソプラズマ感染症が強く疑われた場合、中絶手術のケースも多いので、臨床データは多くないとは思いますが、フランスの調査では、妊娠早期(8週以内)に母親が陽性になった場合、胎児の感染頻度は 2 ~10% と推測されています。もちろん、必要な治療は行われています。
胎児期に診断する方法はいろいろありますが、産科での超音波胎児診断などで異常がなかった場合、臍帯血や赤ちゃんの血液検査で確認することも可能です。
臨床免疫学(母親のIgG抗体は胎盤を通過するが、IgM抗体は通過できない)に基づき、出産時に臍帯血を採取をして、IgM抗体およびIgA抗体を調べます。陽性であれば、90%以上の確率で「先天感染」と診断可能です。さらに、疑わしいときは、生後数回、定期的な血液検査を行うと、胎児期に感染があれば(母体由来のIgG抗体は、徐々に減少して消失しますので)、IgG抗体は生後1年以内に上昇がみられるか、生後8ヶ月間は抗体価が持続する検査所見などが得られます。これら血液検査などで異常な経過であれば、眼底検査や頭部検査などを積極的に行います。もしご心配であれば、眼科医にご相談ください。
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