乳児を対象とした屈折検査によると、1歳までの時期では、遠視眼80%以上、近視眼は僅かに4%との報告があります。左右眼で遠視(ないし近視)の度数にはほとんど差がないことも特徴の1つです。もし、度数に明らかな差があると、どちらかの目が弱視になるリスクが高くなります。
一方、10歳以下、かつ-6D以上の強度近視を呈する小児の調査では、近視単独は8%程度で、全身疾患を有する症例は54%と多く、水晶体や網膜などの先天性の目の病気については38%の症例に合併しているとの報告もあります。また、強度近視の小児例は、アジア人種の男児に多いようです。
海外でもまだ臨床試験的な実施ではありますが、白内障のない強度近視眼では、弱視予防のため小児期に眼内レンズを挿入したり(水晶体摘出をしないで)、角膜手術にて屈折矯正する方法があります。試験的な治療ですので、当然、通常の弱視治療が奏効しなかった症例を対象としています。
小児期の白内障手術後では、強度近視、不同視、斜視などを合併していない患児の方が視力回復率がよいこともよく知られています。以上の臨床報告は、(半日程度の)海外文献の調査で得られたものです。強度近視による弱視予防のため、通常の治療の前に、ほとんど混濁のない水晶体を摘出することには、手術後の合併症等の問題もあり、眼科外科医のコンセンサスが得られていないように考えます。しかし、白内障が明らかに視力障害の一因となっているような症例では(特に左右眼で差があるとき)、積極的な治療も必要でしょう。
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