デュアン症候群は、多くのケースで「外転神経核」とよばれる脳神経核の欠損ないし低形成が原因で起こります。斜視患者の1%程度といわれています。通常、眼球を外転させる神経は「外転神経」ですが、デュアン症候群では「動眼神経」とよばれる眼球を鼻側に動かす(他に上、下に動かしたり、瞼を開ける)神経が機能を代行しています。ところが、機能的に無理がありますので、眼球を耳側に外転できなかったり、鼻側に充分に寄せられなかったりします。最も多いタイプです(タイプⅠ)。ただし、第一眼位(真っ直ぐ前を見た正面位)では、半数のケースでは正常の位置で、眼球を内側に寄せるとき、上・下に大きく動いてしまいます。このように第一眼位では、正常のことが多いので、(一般的な斜視のように)弱視や両眼視機能障害を来たすことは少なく、手術治療は正面位で明らかな異常があるときに限られるようです。8割のケースは片眼だけの発症といわれています。また、患眼を鼻側に寄せると、眼球が後方に移動するため、まぶたの間が狭くなります(目を細めたように見えます)。デュアン症候群の約10%のケースは、家族性発症があり、遺伝形式は常染色体性優性遺伝が多いといわれています。胎生期4~8週目の異常ですので、ときに他の先天異常を合併します。
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