ドイツ Jonas医師らによる2編の医学論文(要約)です。
【第一論文】
Am J Ophthalmol. 1999 Nov;128(5):628-31.
Timing of retinal redetachment after removal of intraocular silicone oil tamponade.
Jonas JB, Budde WM, Knorr HL.
Department of Ophthalmology and Eye Hospital, University Erlangen-Nurnberg, Erlangen, Germany.
目的:硝子体手術後、眼内シリコンオイル除去術と網膜再剥離との期間を調査し、この期間の長さに影響を与える因子を検討した。
症例および方法:経毛様体扁平部硝子体切除術および眼内シリコンオイル充填術 (粘稠度 5,000センチストーク)による初回手術の後、8.0+/-6.2ヶ月(平均 8.0ヶ月、標準偏差 6.2ヶ月)の時点でシリコンオイル除去術を施行し、網膜が再剥離した42症例42眼(後向き調査)。
硝子体切除術は、複雑化した裂孔原性網膜剥離によって発生した増殖性硝子体網膜症に対して施行された。
結果:シリコンオイル除去後、2日から5.5ヶ月後 (平均月数 1.3ヶ月、標準偏差 1.4ヶ月、中央値 18日) に網膜は再剥離した。全症例42例42眼中、9日以内13眼 (30%), 18日以内21眼 (50%), 50日以内32眼 (75%) であった。分散分析による統計解析を行ったところ、シリコンオイル除去後に網膜再剥離にいたるまでの期間は、シリコン除去法 (経瞳孔法、毛様体扁平部強膜切開法), 近視などの屈折度数(P = .62), 初回手術からオイル除去までの日数 (P = .99), シリコンオイル除去前の視力 (P = .26), 麻酔方法 (P = .69), 男女差 (P = .80), 年齢 (P = .48) については、関連性はなかった。
結論:網膜再剥離のリスクは、シリコンオイル除去後日数が経つにつれて、著しく減少する。オイル除去3ヶ月から5ヶ月後には、再剥離は少なくなる。再剥離までの期間について上記7因子との関連性はなかった。シリコンオイル除去後は、再診察のスケジュールや安静度についての指導、相談が重要と考えられる。
【第2論文】
Br J Ophthalmol. 2001 Oct;85(10):1203-7.
Retinal redetachment after removal of intraocular silicone oil tamponade.
Jonas JB, Knorr HL, Rank RM, Budde WM.
Department of Ophthalmology and Eye Hospital, University Erlangen-Nurnberg, Germany.
目的:眼内シリコンオイル除去後の網膜再剥離の頻度と危険因子を調査する。
方法:2名の術者によって施行された経毛様体扁平部硝子体切除術の後、平均10ヶ月後にシリコンオイルを除去した225症例を対象とした。
平均経過観察期間は17.37ヶ月 (標準偏差 14.40ヶ月、最短3.02ヶ月、最長67.42ヶ月) 。
結果:225症例中57例 (25.3%) でシリコンオイル除去後に再剥離がみられた。再剥離を来たすリスク因子は、これまでに復位しなかった手術の回数 (p=0.0008); 術者 (p=0.007); シリコンオイル除去前の視力 (p=0.009); 硝子体基底部の不完全除去 (p=0.01); 下方網膜切開を行わなかった増殖性硝子体網膜症の症例で輪状締結術未施行のとき (p=0.01); 経毛様体扁平部硝子体切除術の適応疾患、であった。
再剥離の頻度は、シリコンオイルを除去する方法やオイル充填の期間とは統計学的に無関係であった(p>0.05) 。
結論:シリコンオイル除去後に約1/4の症例で再剥離が起こる(シリコンオイルを使用したり、除去する適応基準に関係しますが)。網膜剥離再発の危険因子は、上記6因子であった。最短のオイル充填期間3ヶ月である本研究では、再発率はシリコンオイルを除去する方法やオイル充填の期間とは無関係であった。
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