眼窩下壁骨折, 眼窩ふきぬけ (ブローアウト) 骨折と呼ぶこともあります。「ホワイト・アイ ふきぬけ骨折」の定義は文献要約 (2) をご覧下さい。[発表年代順: (2) (1) (3)]
(1) 眼窩底単独骨折の修復についての臨床的推奨: エビデンスに基づく解析
Ophthalmology. 2002 Jul;109(7):1207-10; discussion 1210-1; quiz 1212-3.
Clinical recommendations for repair of isolated orbital floor fractures: an evidence-based analysis.
Burnstine MA.
Doheny Eye Institute and the Department of Ophthalmology, Keck School of Medicine at the University of Southern California, 1450 San Pablo Street, DEI 4705, Los Angeles, CA 90033, USA.
目的: 学術論文内の情報の質を評価し、眼窩底だけの骨折のときの修復についてのガイドラインを提言する。
臨床的な意味: 眼窩底骨折は眼窩外傷時によく見られます。眼球陥凹、外眼筋の障害による複視、眼窩下神経知覚鈍麻を伴うことがあります。骨折修復の適応と時期については今だ論争のあるところです。
文献調査: PubMed を使用し、MEDLINE 登録論文をレビューしました。キーワード "orbital floor fracture, orbital trap-door fracture, orbital blow-out fracture" による検索を行い、1983年以降の発表論文を入手しました。眼窩底単独骨折の手術適応と時期についての意見を抽出しました。各々の推奨についてケア過程における重要度、エビデンスの程度で等級をつけました。
結果: 眼窩底骨折の治療に関して前向きランダム化臨床試験は行われていませんでした。 しかしながら、ほとんどの推奨は、患者ケアに最も重要(A) と等級化がなされ、手術治療を強く支持していました(level I)。
結論: 眼窩底骨折の手術時期と適応については、発展段階です。眼球心臓反射 oculocardiac reflex が治らない、"ホワイト・アイ white-eyed" ふきぬけ骨折、早期からの眼球陥凹 は迅速な手術修復の適応です。牽引試験 forced duction が陽性であり、CT検査にて眼窩軟部組織の嵌頓所見があり、複視を伴う症例、または、のちに眼球陥凹を来たす可能性のある大きな眼窩底骨折がある症例では、2週以内の手術を推奨します。
(2) 眼窩底骨折に対する数日以内の介入: ホワイト・アイふきぬけ骨折
Ophthal Plast Reconstr Surg. 1998 Nov;14(6):379-90.
Intervention within days for some orbital floor fractures: the white-eyed blowout.
Jordan DR, Allen LH, White J, Harvey J, Pashby R, Esmaeli B.
Department of Ophthalmology, University of Ottawa Eye Institute, Ontario, Canada.
眼窩底に発生したふきぬけ骨折の治療法については過去数十年にわたり論争がありました。4ヶ月から6ヶ月間の保存的治療を推奨する考え方や介入前の '待機と観察 wait and watch' 期間として 2週間を推奨する考え方があります。著者は、主に16才未満の小児例ですが、眼球周囲の外傷により本疾患を来たし、上下方向の注視時の著明な眼球運動制限がありながら、軟部組織の損傷所見はわずかで、眼球陥凹がなく、放射線学的検査でも眼窩底の破裂所見はごく軽度である 複数の症例(グループ)を経験しました。2週間の経過観察は、これらの症例にとって利益はほとんどなく、眼球運動については有害となる可能性がありました。永続的な眼球運動制限を回避するために受傷後数日以内の手術を主張します。著者は、疾患単位として "ホワイト・アイ white-eyed" ふきぬけ骨折 と命名しました。
(3) 眼窩顔面骨の修復についての臨床的推奨
Curr Opin Ophthalmol. 2003 Oct;14(5):236-40.
Clinical recommendations for repair of orbital facial fractures.
Burnstine MA.
Keck School of Medicine at the University of Southern California, Los Angeles, USA.
(論文要約(1)と異なる所見についての文章のみ邦訳しました)
最近の所見: 正中部の顔面骨、外側、眼窩上壁、眼窩内壁、鼻骨篩骨の骨折の場合、外傷後早期創傷治癒機転から手術修復が困難となることを回避するため、2週間以内の手術適応があります。
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