アメリカ合衆国湾岸のビブリオ眼感染症
Cornea. 2000 Jan;19(1):26-9.
Vibrio ocular infections on the U.S. Gulf Coast.
Penland RL, Boniuk M, Wilhelmus KR.
Sid W. Richardson Ocular Microbiology Laboratory, Cullen Eye Institute, Baylor College of Medicine, Houston, Texas, USA.
[要約の邦訳]
目的: ビブリオ眼感染症の疫学を記述すること
方法: Vibrio vulnificus ビブリオ・バルニフィカス による角膜炎の自施設報告例をレビューし、ビブリオ属の菌種による眼感染症について文献検索を行った。
結果: 39才の漁師はオイスターの貝殻のかけらが左眼にあたり、化膿性ビブリオ角膜炎 V. vulnificus keratitis となったが、抗菌薬 セファゾリン cefazolin とゲンタマイシン gentamicin の併用療法が奏効した。自施設経験例を含むと、合計 17症例のビブリオ眼感染症が報告されており、11例 (65%) は海水や甲殻類に曝露していた。V. vulnificus による 7症例 (角膜炎 6例, 眼内炎 1例)中, 6例はメキシコ湾の米国海岸で甲殻類や海水に曝露していた。Vibrio alginolyticus 結膜炎の 5症例中、3例は魚や甲殻類に曝露していた。Vibrio parahaemolyticus による 3症例 (角膜炎 1例, 眼内炎 2例)が報告されている; このうち 2例は、汽水または湾岸近くで曝露していた。術後眼内炎 2症例 (V. albensis 1例, V. fluvialis 1例)も報告されていた。
結論: 敗血症、胃腸炎、創傷感染に加えて、好塩性ビブリオ菌種(非コレラ菌性) は視覚を脅かす眼感染症の起炎菌である。汚染した水を含む甲殻類による眼外傷は、ビブリオ結膜炎とビブリオ角膜炎の最もよくみられる危険因子である。Vibrio 眼感染症報告例の約半数はメキシコ湾の米国側沿岸で発症した。
参照ページ:
上記の好塩性ビブリオ、特にビブリオ・バルニフィカスは、
Yakugaku Zasshi. 2005 Jul;125(7):531-47.
Pathogenic factors of vibrios with special emphasis on Vibrio vulnificus
Sumio Shinoda.
Faculty of Pharmaceutical Sciences, Okayama University, Okayama 700-8530, Japan.
篠田 純男先生の総説論文「ビブリオの病原因子-Vibrio vulnificus を中心に-」(日本語論文 PDFファイル 846KB)
http://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/125/7/125_531/_article
に詳しく記述されています。
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