脈絡膜黒色腫に対する各種治療法による眼球の温存: 1632症例の監査報告.
Ophthalmology. 2004 May;111(5):977-83.
Conservation of eyes with choroidal melanoma by a multimodality approach to treatment: an audit of 1632 patients.
Damato B, Lecuona K.
St Paul's Eye Unit, Royal Liverpool University Hospital, Liverpool, United Kingdom.
{要約の邦訳]
目的: 脈絡膜黒色腫に対する各種治療法による眼球温存について報告する。
研究デザイン: 前向き, 非比較, 介入による一連の症例研究。
参加者: 1993年から 2002年までの期間に単一センターで治療を受けた脈絡膜黒色腫 全1632症例。
介入: 一次的眼球摘出術 (35%), 近接照射療法 brachytherapy (31.3%), 陽子線放射線治療 (16.7%), 経強膜局所切除術 (11.0%), 眼内切除術 endoresection (3.7%), 経瞳孔温熱療法 (2.5%), 光凝固術 (0.1%)。
主な結果判定法: 一次的および二次的眼球摘出術 Primary & secondary enucleation
結果:
一次的眼球摘出術の主要な予測因子 (ロジスティック回帰):
年齢 61才超 (オッズ比 [OR], 2.4; 95%信頼区間 [CI], 1.8%-3.2%);
視力低下 (OR, 2.5; 95% CI, 1.9%-3.2%);
視神経乳頭と中心窩に近接しているか、これら組織を巻き込んだ後方進展(OR, 1.7; 95% CI, 1.2%-2.4%);
毛様体, 虹彩, 隅角の円周方向に拡がる(OR, 3.1; 95% CI, 1.8%-5.5%);
基底部腫瘍直径 (OR, 3.5; 95% CI, 2.4%-5.0%);
腫瘍の高さ (OR, 6.3; 95% CI, 4.5%-8.9%).
保存的治療後の二次的眼球摘出術は、5年後で 11.1% (95% CI, 8.6%-13.6%)であった (保険数理上の比率)。
二次的眼球摘出術の独立した予測因子 (Cox 多変量解析):
鼻側/正中部の腫瘍位置 (リスク比 [RR], 2.6; 95% CI, 1.6%-4.4%);
視神経乳頭に波及 (RR, 2.2; 95% CI, 1.2%-4.1%);
腫瘍直径 (RR, 1.2; 95% CI, 1.0%-1.5%);
腫瘍の厚み (RR, 1.8; 95% CI, 1.5%-2.1%).
結論: 各種治療法に従い、患者の 65%は保存的な治療法を受け、このうち 89%の患者は 5年間眼球を温存したが、腫瘍の直径、厚さ、視神経乳頭への波及、冠状方向の位置によって成功した。
[訳者注] 二つの集団における疾病リスクの比は、オッズ比 odds ratio [OR], リスク比 risk ratio [RR]と呼ばれますが、調査研究法などによる用語の違いであって、どちらも大きいとリスクが高いことを意味します (例 OR, 2: 2倍のリスクがある)。
最近のコメント