炭酸脱水酵素阻害薬 carbonic anhydrase inhibitor 「アセタゾラミド acetazolamide」の経口薬を黄斑浮腫、特に、のう胞様黄斑浮腫H35.8 の治療に用いることがあります。しかし、これまでに実施された本剤の有用性を調べる臨床試験の中で、ランダム化比較臨床試験は非常に少ないようです。
Doc Ophthalmol. 1999;97(3-4):387-97.
The role of carbonic anhydrase inhibitors in the management of macular edema.
Wolfensberger TJ.
Hopital Ophtalmique Jules Gonin, University of Lausanne, Switzerland.
[総説論文の要約の一部]
Several clinical studies have suggested that patients with cystoid macular edema due to retinitis pigmentosa and uveitis may react more favorably to CAI treatment than other etiologies such as diabetic maculopathy or macular edema after retinal vein occlusion.
「網膜色素変性症」および「ぶどう膜炎」による"のう胞様黄斑浮腫"は、「糖尿病黄斑症」や「網膜静脈閉塞(症)」後の黄斑浮腫などの他原因によるものに比べて、炭酸脱水酵素阻害剤治療に対して、より良く反応する可能性があることをいくつかの臨床試験は示しています。
ぶどう膜炎患者の嚢胞様黄斑浮腫に対するアセタゾラミド薬のランダム化クロスオーバー盲検試験
Ophthalmology. 1996 Jul;103(7):1054-62; discussion 1062-3.
A randomized, masked, cross-over trial of acetazolamide for cystoid macular edema in patients with uveitis.
Whitcup SM, Csaky KG, Podgor MJ, Chew EY, Perry CH, Nussenblatt RB.
National Eye Institute, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892-1858, USA.
[要約の邦訳]
目的: ブドウ膜炎患者に発生した嚢胞様黄斑浮腫に対するアセタゾラミドの効果を試験する。
方法: 類のう胞黄斑浮腫を伴った慢性の中間型、後部型、または汎ぶどう膜炎 40症例を対象として、アセタゾラミドとプラセボ(偽薬)を比較する交差盲検試験のためにランダム割付を行った。患者は最初の 4週間(コース A)、アセタゾラミドまたは偽薬を服用し、次いで 4週間ウォッシュアウト(洗い流し 訳者注: 投薬中止)が行われた。その後、4週間は反対の薬剤を服用した(コース B)。主要評価項目 primary endpoint は、蛍光眼底造影検査の後期像で測定した嚢胞様黄斑浮腫の面積および視力を含んでいた。
結果: 37症例が本試験を完了し、解析可能であった; 無作為割付により、コース A の期間中に、17例 (46%)はアセタゾラミド、20例 (54%)は偽薬を使用した。
アセタゾラミド群ではプラセボ群に比べて嚢胞様黄斑浮腫の面積が 0.5-disc area [訳者注: disc 視神経乳頭] (25%) 減少した (P = 0.01; 推定治療効果 = -0.5 disc areas; 95% 信頼区間, -0.9 から -0.1)。しかしながら、視力に関しては、アセタゾラミドには統計的に有意な効果はなかった (P = 0.61; 推定治療効果 = 0.6 letters [訳者注: 使用した視力検査法の単位]; 95% 信頼区間, -2 to 3)。
結論: アセタゾラミド治療の 4週間コースは、慢性ぶどう膜炎患者の嚢胞様黄斑浮腫を統計的に有意に減少させたが、その程度は軽度であり、視力改善はない。文献上、以前の試験とは対照的に、慢性ぶどう膜炎に伴う長期持続する嚢胞様黄斑浮腫に対するアセタゾラミドの臨床的有用性は、より限られている more limited 可能性がある。
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