日本では Fuchs' spot (フックス斑) とよばれることが多いようです。
Duke-Elder 全書には、「円形のクラレット色(濃い赤紫色)または黒色の斑点で、覆っている網膜は萎縮したり、暗点を残すことがある」と記述されています。
別称: Forster-Fuchs spot, Forster-Fuchs' spot, Fuchs spot, Fuchs' fleck など
Forster-Fuchs retinal spot
» http://www.patient.co.uk/showdoc/40002185
[一部抄訳]
Forster は1862年、重度の近視眼に伴った網膜下新生血管について、Fuchs は中心窩または中心窩近傍の色素性病変について記述しました。これらは同一(訳者注: 疾患)プロセスの両部分です。
Forster described subretinal neovascularisation in severely myopic eyes in 1862 and Fuchs described a pigmented lesion at or near the fovea. They are both part of the same process.
Investigations 原因研究(引用文献 1): フルオレセイン蛍光眼底造影検査は、多くの症例において、基礎疾患として脈絡膜由来の網膜下新生血管の存在を示している。
Fluorescein angiography shows subretinal neovascularization from the choroid as the basic underlying disease in most cases.
Prognosis 予後(引用文献 2): Moorfields Eye Hospital の研究 (1983年)では、介入がないと43%の患者で視力は 2段階以上低下し、さらに 60%の患者は最終追跡調査時点で 0.1以下の視力となり、一般的に予後は不良であった。視力と中心窩から新生血管組織までの距離とは直接の因果関係があり、視力と病変サイズとは逆相関した。早期の視力低下を伴う短期間の新生血管増殖相があるように思われる。
A study from Moorfields in 1983 showed a generally poor prognosis without intervention with 43% of the patients losing 2 or more lines of vision, while 60% were less than or equal to 6/60 at last follow-up. There was a direct relationship between visual acuity and the distance of the neovascular tissue from the fovea, and an inverse relationship between acuity and the size of the lesion. There seems to be a short neovascular growth phase, with early visual loss.
[引用文献]
(1) Fuchs 斑: 検眼鏡およびフルオレセイン蛍光眼底撮影法による研究
Ann Ophthalmol. 1977 Nov;9(11):1433-43.
The Fuchs' spot: an ophthalmoscopic and fluorescein angiographic study.
Levy JH, Pollock HM, Curtin BJ.
[要約の邦訳]
強度近視にみられる Fuchs 斑 Fuchs' spot の眼底検査所見とフルオレセイン蛍光眼底撮影所見との相関関係を示す。検眼鏡で見られるいろいろな変化は、網膜色素上皮および神経感覚網膜の漿液性剥離と出血性剥離双方が本病変に関連することを示唆している。しかしながら、フルオレセイン蛍光眼底撮影検査は、レビューした多くの症例において、基礎疾患として脈絡膜由来の網膜下新生血管の存在を示している。強度近視眼の色素性黄斑症 pigmented maculopathy の検眼鏡的所見には幅広いバリエーションがあるので、用語"フックス斑 Fuchs' spot"で表すよりも記述的アプローチを必要としている。傍中心部の房状(血管)に対して進行を遅らせるレーザー光凝固治療が可能なことがあるので、フルオレセイン蛍光眼底撮影法は新生血管病変を描写するために必要である。
(2) 近視眼における円板状変性の視力予後
Ophthalmology. 1983 Aug;90(8):923-6.
Visual prognosis of disciform degeneration in myopia.
Hampton GR, Kohen D, Bird AC.
[要約の邦訳]
Forster-Fuchs' spot を呈し、血管造影検査により網膜下新生血管による視力低下と診断され、Moorfields Eye Hospital 通院中の近視眼の症例で、視力低下の病歴は短く、他の眼疾患のない連続する症例を対象として後向き調査を行った。追跡調査中の視力は診察時の視力と比べられ、患者年齢、追跡期間だけでなく、新生血管複合体のサイズや部位に関係していた。43%の患者で 2段階以上の視力が低下し、さらに 60%の患者は最終追跡調査時点で 0.1以下の視力となり、一般的に予後不良の結果であった。予想どおり、視力と中心窩から新生血管組織までの距離とは直接の因果関係があり、視力と病変サイズとは逆相関した。早期の視力低下を伴う短期間の新生血管増殖相があるように思われる。
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