オーストラリア厚生省治療製品管理局TGA、米国食品医薬品局FDAの評価と解説(日本語訳)をお知らせいたします。
■ アセチルサリチル酸 (商品名 バファリンA バイエルアスピリンなど)
解熱鎮痛消炎薬(非ステロイド系)
注意: 英文、訳文に「一日当たり**mgは低用量である」と記載されていても、日本人を対象としたガイドラインではありませんので、必ず主治医にお尋ねください。
【TGA】
リスク分類「C」
アスピリンはプロスタグランジン合成を阻害します。妊娠後期に使用すると、胎児の動脈管が早期に閉鎖したり、分娩・出産が予定日より遅れることがあります。アスピリンには抗血小板作用があり、新生児や母体内の出血時間が延長します。アスピリン製剤は妊娠後期を避けるべきです。低用量(一日当たり100mg)は、出血時間に影響はありません。
【FDA】
リスク分類「D*」
ヒト胎児へのリスクがあります。
胎児へのリスクがあっても、妊婦が重篤な病気に罹患していたり、生命を脅かされた状態のときなど、母体にとって有益であれば、本剤使用が正当化されるかもしれません。
低用量(一日当たり150mg以下)では、カテゴリー「C」です。
通常上限量(full-dose)が妊娠後期に使用されたとき、カテゴリー「D」です。
子癇前症、子宮内発育遅滞、全身性エリテマトーデス(SLE)、抗リン脂質抗体症候群では、低用量(一日当たり40-150mg)であれば、投与可能です。
【胎児へのリスク】
妊婦に、貧血、分娩前(ないし分娩後)出血、妊娠期間の長期化・遷延分娩、用量依存性の眩暈(めまい)、耳鳴り、頭痛、過呼吸を来たすことがあります。
低用量では、胎児へのリスクは報告されていません。
妊娠最終週での大量投与は、動脈管早期閉鎖、肺高血圧症、死産、子宮内発達遅滞を来たします。
先天性サリチル酸中毒症の原因となります(筋緊張、興奮状態、金切り声様の泣声、反射・刺激に対する亢進状態)。
出産前の大量投与では、血小板機能の低下した新生児で出血性疾患や皮膚の紫斑を来たします。
妊娠初期に使用した場合、口腔内の裂隙や心臓内壁欠損など先天性欠損を伴うことがあります。
妊娠前半の大量投与では、子供のIQへの影響が疑われています。
【授 乳】
乳汁中に少量が分泌されます。乳児の血小板機能への影響のため、授乳に際して注意が払われるべきです。
カテゴリ「A-X」については、
http://doc.s73.xrea.com/category/drugs/2004/08/coeee.html
のリンク先でご確認下さい。
FDA: A, B, C, D, X
TGA: A, B1, B2, B3, C, D, X
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